【くらしと文化】琉球ブラックジャック

現代の医者が江戸時代にタイムスリップして、活躍する漫画「JIN」が人気になりましたね。作品の中で全身麻酔を使って手術をするシーンがありましす。さて、実際に日本で初めてに全身麻酔手術をしたのは、1804年の和歌山の医者、華岡青洲という人。この人がモデルになったんですね。ところで当時、沖縄は別の国、琉球王国。で、琉球王国ではどうだったかといいますと、実はそこからさかのぼることナント115年も前に全身麻酔の技術がありました。

 実はこの技術、清王朝(現在の中国)の黄(こう)という医師の秘伝とされ、門外不出とされていたもの。王府はその技術を習得するようにという命令をある人にくだした。というのも、患者はのちに国王となる王子様。そして、全身麻酔技術習得するように指名されたある人とは、なんと本職の医者ではありませんでした。高嶺徳明という通訳と外交文書を作成する人。無茶ぶりもいいところですが、語学力・器用さ・誠実さが認められて、大抜擢されたのでした。で、どうなったか…シタイヒャー! 高嶺は見事、黄先生から秘伝を許され、肝心の手術も「三昼夜にして全く癒えて痕なし」てなことで大成功! 高嶺は大出世しました。でも彼は医者を続けていません。この医術を自分のモノだけにせず、多くの医者に広めたあと、元の仕事(通訳官)に戻ってしまいます。なんだかかっこいいぞ。高嶺徳明をたたえる碑は琉球大学医学部にあります。